どうも金属大好きMonozukiです。
職場で「金属が好き」って言ったら「変人」のレッテルを貼られますので御注意ください。
今回は金とチタンの金属間化合物『β-Ti3Au』についてです。
数ある金属の中でも「チタン」は一番好きな金属です。
チタンについて簡単に説明しておきます😊
チタンってどんな金属?
◆良いところ
- 軽い
- 強い
- 耐食性に優れている
- 有毒性が無い
【軽い】
チタンは非常に軽い金属です。
比重で比べてみましょう。
アルミ : 2.68
チタン : 4.51
鉄 : 7.21
ステンレス: 7.91
銅 : 8.82
金 : 19.32
※アルミよりは重たいです。
【強い】
チタンの強いです。
ビッカース硬度で比べてみましょう。
アルミ : 19~44 HV
チタン : 100~160 HV
鉄 : 110 HV
ステンレス: 170~200 HV
銅 : 51~59 HV
金 : 22 HV
チタンは強いですが、純チタンではステンレスよりも柔らかいです。
ではどう強いのか?
それは比重に対する強度【比強度】が高いのです。
ステンレス(7.91)とチタン(4.51)で同じ強度の物を作ろうとした際に、比強度が高いということは軽量化できるということです。
要するに
「軽さのわりに強い!」
ということです。
【耐食性に優れている】
チタンと言えば「錆びない」という印象ですね。
実際には「非常に錆びにくい」です。
その耐食性はプラチナと同等です。
素晴らしい耐食性と言えるでしょう。
【有毒性が無い】
チタンは空気に触れると表面に酸化皮膜の膜ができるため金属イオンが溶け出すことはほぼありません。
金属アレルギーの人も安心ですし
インプラントや人工骨としても利用ができる素晴らしい金属なのです。
◆弱点
- 値段が高い
- 加工が困難
【値段が高い】
実はチタンは【レアメタル】に分類されています。
ですが「鉄」や「アルミニウム」などと同じくありふれた金属で、地球上で5番目くらいの埋蔵量があるのです。
それなのになぜレアメタルなのでしょうか?
それは自然界に存在するチタンは酸素などと強く結びついていた状態で存在しており、高純度のチタンを精錬することが非常に困難で多くのエネルギーとコストが掛かるからです。
【加工が困難】
チタンは粘り強い金属で切削が困難です。
ステンレスなど他の金属と比べて、加工には時間と手間が掛かります。
更にチタンは酸化しやすいという特徴を持っており、溶接も困難です。
チタンは加工が非常に難しい金属なのです。

長々とチタンの説明をしてきましたが、本題はここからです!
チタンが素晴らしい素材だということは理解して頂けたと思います。
そんなチタンですが、通常のチタンよりとんでもなく硬い『β-Ti3Au』が発見されたのです!
発見したのはEteri Svanidzeらの研究チームです。
参照元:β-Ti3Auについての論文
金とチタンの金属間化合物【β-Ti3Au】
アイアンマンも金とチタンの合金でしたね!
(知らんがな)
このチタンの凄いところは何と言ってもその硬度でしょう!
通常のチタンのビッカース硬度が【100~160 HV】なのに対して
「β-Ti3Au」のビッカース硬度は約4倍以上の800HV!!
その他の鋼鉄と比較しても3~4倍の硬度である。
これは驚異的な数字です😨
さらに摩擦係数の低下、および生体適合性も向上しており
インプラントや人工骨などにも適しています。

これでとうとう非の打ちどころが無くなってしまいましたね…!
「β-Ti3Au」が発見されたのは2016年なのですが、2020年3月現在でも日本では取り扱われていないようです。
(ググりましたが、ヒットしませんでした😢)
一応ダメもとで日本チタン協会様にも問い合わせ中です!
※2020年3月31日追記
日本チタン協会様より返信がありましたので、追記しておきます。
まず最初に『β-Ti3Au』はチタン合金の部類ではありませんでした!!
(以前は合金として記事を書いていましたが、修正済みです)
『β-Ti3Au』=金属間化合物
なんてこった…
頂きました返信の内容を簡単にまとめますね。
- 『β-Ti3Au』は規則格子を有する金属化合物で通常のチタンと同列に扱うことはできません
- 融点まで安定に存在する
- 基本は鋳造でしか扱えない
- HV800もあれば温室での延性はありませんので、靭性は無いに等しい
- 重量%としては金が50%以上になり一般工業では使えない合金(国内で取り扱っている企業の情報なし。歯科の分野なら可能性があるかも?)
この度は丁寧に返答をして頂きまして大変感謝しております。
この先も新たな情報が入りましたら、更新しようと思います!